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第5章 消化器系に作用する薬剤
[肝疾患治療薬]
ウイルス性肝炎治療薬
和気 泰次郎
1
,
建石 良介
1
1東京大学医学部附属病院 消化器内科
pp.779-783
発行日 2023年4月1日
Published Date 2023/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika131_779
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・B型慢性肝炎の治療対象は,HBe抗原の陽性・陰性にかかわらず,ALT値≧31U/LかつB型肝炎ウイルス(HBV)DNA量≧2,000IU/mL(3.3LogIU/mL)である.
・肝硬変ではHBV DNAが陽性であれば,HBe抗原,ALT値,HBV DNA量にかかわらず,治療対象とする.
・代償性・非代償性肝硬変に対するインターフェロン(IFN)治療の効果と安全性に関する十分なエビデンスはなく,核酸アナログ製剤を用いた治療が推奨される.
・核酸アナログ製剤を使用する場合には,薬剤耐性獲得のリスクが少ないentecavir(ETV),tenofovir disoproxil fumarate(TDF),tenofovir alafenamide(TAF)が第一選択薬であり,とくに挙児希望者あるいは妊娠中の女性ではTDFが第一選択薬である.
・非代償性肝硬変を含むすべてのC型慢性肝炎患者は,年齢,ALT値,血小板数にかかわらず,抗ウイルス治療の対象となる.
・ALT値30U/L超または血小板数15万/μL未満のC型慢性肝炎患者は,抗ウイルス治療のよい適応である.
・高齢者ではALT値30U/L以内かつ血小板数15万/μL以上でも肝発がんリスクは低くなく,積極的な治療導入を検討すべきである.
・本邦で非代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善目的に承認された治療薬はsofosbuvir/velpatasvirのみである.
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