Book Review
特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き2022(改訂第4版)
鈴木 拓児
1
1千葉大学大学院医学研究院呼吸器内科学 教授
pp.779-779
発行日 2022年10月1日
Published Date 2022/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika130_779
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- 文献概要
間質性肺炎は,通常の細菌感染にみられる「実質」の肺炎とは異なり,「間質」を炎症や線維化の主座とした病変・疾患群である.肺における「間質」とは,酸素・二酸化炭素のガス交換の行われる肺胞という袋状構造同士の間(両面の肺胞上皮の基底膜に挟まれた領域)を指し,毛細血管網・弾性線維網・膠原線維・線維芽細胞といった構造(狭義の間質)である.気管支・肺動脈周囲の間質や小葉間隔壁,胸膜といった部分は広義の間質とよばれる.間質性肺炎の原因は多岐にわたり,じん肺や過敏性肺炎といった職業・環境性の原因が考えられるものや,ウイルス性肺炎や薬剤性肺炎,放射線性肺炎などの原因の明らかのもの,膠原病・サルコイドーシスなどの全身性疾患に付随して発症するものなどさまざまであるが,これらを鑑別・除外して原因が特定できない多様な疾患の集まりが「特発性間質性肺炎」である.間質性肺炎については,一般医家や専門外の先生方には難しい響きがあるかもしれないが,実は専門家にも簡単ではなく,診断の際には臨床医・放射線科医・病理医といった多分野による集学的検討(multidisciplinary discussion:MDD)という概念が診断精度を高めるために非常に重要視されている.そして,患者病態の臨床経過・疾患挙動に応じて診断の再評価を行うことの大切さが指摘されている.
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