特集 エキスパートがお答えします! 日常臨床のあるあるの疑問
第9章:血液
1週間前から発熱と全身のリンパ節腫脹が1週間続き,血清可溶型IL-2受容体が高値(2,000U/mL)となっています.すぐにリンパ節生検が必要でしょうか?
得平 道英
1
1地域医療機能推進機構埼玉メディカルセンター 血液内科
pp.629-633
発行日 2022年9月1日
Published Date 2022/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika130_629
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お答えします 血清可溶型IL-2受容体(sIL-2R)は,細胞表面にあるIL-2Rα鎖(CD25)がプロテアーゼによって切断され血中に流出したものを測定しています.IL-2Rα鎖は悪性リンパ腫やその他のがん細胞にも発現している一方で,正常細胞では主としてT細胞に発現していることから,悪性腫瘍を反映するマーカでもあると同時に,自己免疫性疾患や感染症,肉芽腫瘍などさまざまな疾患における免疫活性化マーカーとしての側面を有します.多くの疾患で上昇を示すため,その鑑別のため,身体所見,検査所見,画像検査などを含めたうえでの判断が大切となり,また,リンパ節生検は悪性リンパ腫を強く疑う,もしくはリンパ節生検でないと鑑別がつかないと判断される場合に積極的に考慮することとなります.
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