連載 Focus On
DNARは本当に必要か
三島 史朗
1
1東京医科大学 医療の質・安全管理学
キーワード:
DNAR
,
心肺蘇生
,
終末期医療
Keyword:
DNAR
,
心肺蘇生
,
終末期医療
pp.483-487
発行日 2022年3月1日
Published Date 2022/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika129_483
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DNAR(do not attempt resuscitation)は,患者の心停止に臨んで,心肺蘇生を行わない旨を,あらかじめ患者・家族と医療者との間で取り交わす申し合わせである.DNARは心肺蘇生のみへの指示であるが,蘇生に関わらない通常診療の手控えと混同されやすい.それは,心肺蘇生に対する一般医療者の誤解に由来すると考える.患者は呼吸不全や循環不全を経て心停止するが,それら臓器機能不全に対する治療が奏効せずに結局心停止するのであれば,心肺蘇生の適応はない.心肺蘇生は予期せぬ心停止に対してのみ適応があり,その意味でDNARの申し合わせは本来不要である.本稿は,この心肺蘇生に対する誤解を通してDNARの意義を考え,家族の納得のための,あるいは医療者間の行き違いを防ぐとされる,DNARの必要性を考察する.
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