特集 意外と知られていない⁉ 自科の常識・他科の非常識
第5章:感染症
インフルエンザの診断に迅速抗原検査が必要な時・不要な時を見極める
藤田 浩二
1,2
1津山中央病院総合内科・感染症内科/卒前卒後臨床研修センター
2岡山大学大学院医歯薬総合研究科総合内科学分野
キーワード:
臨床診断
,
臨床的地雷
,
公衆衛生・疫学的地雷
,
迅速検査
Keyword:
臨床診断
,
臨床的地雷
,
公衆衛生・疫学的地雷
,
迅速検査
pp.504-508
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_504
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インフルエンザがメジャーな疾患であることは忘れてはいけない
毎年,毎年インフルエンザシーズンに入ると,大勢のインフルエンザ患者を目の前にうんざりしている医療従事者も多いのではないだろうか.日本が位置する北半球では11月下旬から12月上旬にかけてインフルエンザ罹患患者が増加し始め,ピークは1~2月になり,その後2ヵ月程度で流行は収まる.本邦では,2017年度および2018年度にそれぞれ約2,250万人,約1,155万人が医療機関を受診した.ところが,ご存じのとおり2019年に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が出現し,それ以降は嘘のようにインフルエンザ患者が激減した(COVID-19の直接的な影響かどうかわからないが,とにかく激減した).少なくとも筆者が医師になってからこれほどインフルエンザが減ったのは初めての経験であるが,COVID-19が終息すれば再度インフルエンザが以前のような流行を示す可能性は十分にあるので,インフルエンザの基本はしっかり勉強しておく必要がある.COVID-19流行期におけるインフルエンザの検査価値は下がっており,よほど強く鑑別にあげ,かつ,診断による臨床的なアクションに大きな影響を与える場合にのみ検査を行えばよいと考える.これから述べていく内容は,COVID-19非流行期となりインフルエンザが従来どおり増えてきた状況を念頭に置いて記載する.
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