特集 意外と知られていない⁉ 自科の常識・他科の非常識
第1章:呼吸器
抗菌薬不応性肺炎へのアプローチはこうする
原永 修作
1
1琉球大学病院総合臨床研修・教育センター
キーワード:
抗菌薬不応性肺炎
,
非感染性疾患
,
臨床的安定化
Keyword:
抗菌薬不応性肺炎
,
非感染性疾患
,
臨床的安定化
pp.359-362
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_359
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抗菌薬不応性肺炎とは
肺炎症例の診療において,抗菌薬治療を行ったにもかかわらず,治療効果が乏しい事例に遭遇することがあり,抗菌薬不応性肺炎とよばれる1~3).抗菌薬不応性肺炎は感染症と非感染性疾患の両方の可能性がある(表1).入院を要する市中肺炎症例において,初期治療に反応しない抗菌薬不応症例は6~20%と報告されている1,3,4).また,抗菌薬不応性肺炎の予後は不良で死亡率が25%との報告もあり4),早期に判断し,治療方針を修正するなどの対応が必要となる.しかしながら,初期治療時に微生物学的検査が適切に行われていない場合には,初期治療が反応不良の際の評価や治療薬の選択が難しくなる.また,改善が乏しい症例において,評価のタイミングや指標を誤ると,有効である薬剤を変更したり不要な新たな薬剤を追加したりしてしまうことにつながる.それを防ぐためには,肺炎の診断時には,グラム染色や抗原検査,培養検査を含めた微生物検査を積極的に行い,「○○という病原体による肺炎」と診断し,推定した病原体に効力のある抗菌薬の投与を開始することが重要である.また,個々の症例における効果判定の時期や指標を決めておく必要がある.
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