Book Review
肝硬変診療ガイドライン2020改訂第3版
沖田 極
1,2
1周南記念病院名誉院長
2山口大学名誉教授
pp.1034-1034
発行日 2021年5月1日
Published Date 2021/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika127_1034
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- 文献概要
ご存知のように2020年のノーベル医学・生理学賞はC型肝炎ウイルス(HCV)の発見者(Alter HV,Houghton M,Rice CM)に授与され,1976年のB型肝炎ウイルス(HBV)発見者(Blumberg BS)への授与と相まって肝臓病領域での大きな出来事であった.日本人の慢性肝疾患の主な原因であったHBV,HCV感染症の原因や実態が明らかになることは,より根治的な治療法の開発につながることであり,今やB型肝疾患では核酸アナログの,またC型肝疾患ではDAA製剤の導入によりコントロールが可能となった.では,肝臓疾患の臨床に携わるわれわれの対象患者が少なくなったのかといえばそうではない.肥満や糖尿病に伴う非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD),自己免疫性肝疾患,薬物性肝障害は複雑化する社会情勢に呼応して増加している.肝細胞がんに関していえば非B・非Cが圧倒的に増加しており,われわれの肝疾患に対する意識の変革が要求されている.
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