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実地医家が診る慢性便秘症:薬剤選択の考え方と治療のコツ
水上 健
1
1国立病院機構久里浜医療センター内視鏡部
キーワード:
慢性便秘症診療ガイドライン2017
,
病態診断
,
治療薬選択
,
腹部X線
Keyword:
慢性便秘症診療ガイドライン2017
,
病態診断
,
治療薬選択
,
腹部X線
pp.165-171
発行日 2020年1月1日
Published Date 2020/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika125_165
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「慢性便秘症診療ガイドライン2017」が発刊され,長らくガラパゴス状態で塩類下剤と刺激性下剤による経験的治療に頼っていた慢性便秘症診療にエビデンスが求められる時代となった.遅まきながら,世界と同基準で新規便秘薬のほとんどが使用できるようになった.
慢性便秘症は結腸・直腸・肛門など複数の臓器,複数の病態からなる症候群である.その病態は一次性の便秘として「大腸通過遅延型」「大腸通過正常型」「機能性便排出障害型の直腸肛門機能障害」に分類され,他疾患による症候性・薬剤性の二次性便秘は大腸通過遅延型に分類される.
効率のよい診療には,便秘の原因となる障害臓器と病態の推測が必要である.
筆者は大腸鏡挿入法「浸水法」を開発し,その過程で便秘など機能性腸症の挿入困難の原因にストレスによる「腸管運動異常」とS状結腸回転異常や総腸間膜症などの「腸管形態異常」があり,機能性腸症の病態に関与すること,それらは問診や腹部X線検査で推測できることを報告した.
問診と腹部X線検査を用いて便秘の病態を推測し,治療・薬剤選択をする手順を紹介する.
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