特集 高齢者医療ハンドブック―高齢者医療におけるダイバーシティへの対応
第Ⅶ章 高齢者の慢性疾患管理法
4.心房細動
馬原 孝彦
1
Takahiko UMAHARA
1
1東京医科大学高齢総合医学分野
pp.836-841
発行日 2018年4月1日
Published Date 2018/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika121_836
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Summary
▪心房細動の有病率は加齢とともに増加する.
▪高年齢自体が,非弁膜症性心房細動での脳塞栓症発症の危険因子である.
▪高齢者心房細動の治療は心原性脳塞栓症の予防が重要である.高齢者であっても抗凝固療法を考慮すべきである.その抗凝固療法では,warfarinとdirect oral anticoagulants(DOAC)が推奨されている.それぞれの利点欠点を考慮して症例ごとに使い分ける.同程レベルの適応なら頭蓋内出血の発症率の低さよりDOACが推奨されている.
▪DOACは4剤あり,特徴を考慮し使い分ける.dabigatranは出血時の中和剤が使用可能であり,apixabanは腎排泄率が低く腎機能障害例で使用しやすい.
▪抗凝固療法中の頭蓋内出血予防として厳密な血圧管理が推奨されており,130/80mmHg未満を目指すことを考慮してもよいとされている.
▪高齢者では,抗不整脈薬によるリズムコントロール療法の意義は若年者より低い.
▪心房細動患者では認知症保有リスクが心房細動非有病者に対し1.36倍とのメタ解析がある.
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