特集 高齢者医療ハンドブック―高齢者医療におけるダイバーシティへの対応
第Ⅲ章 高齢入院患者の病態評価
3.入院中の薬剤評価と調整
木村 丈司
1
Takeshi KIMURA
1
1神戸大学医学部附属病院薬剤部
pp.674-679
発行日 2018年4月1日
Published Date 2018/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika121_674
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Summary
▪薬剤の種類数だけでなく,その内容の評価と調整が重要である.
▪処方内容の評価にあたっては,患者が服用しているすべての薬剤とその服用理由を把握し,その薬剤がもたらすベネフィットと有害性を評価し,薬剤の中止による退薬症状や症状再発のリスクも鑑みる必要がある.
▪不適切処方を検出するための基準として,「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」や,Beers criteria,STOPP criteriaが参考になる.
▪処方カスケードの原因となっている薬剤や,厳しすぎる治療目標を達成するための薬剤も,見直しの対象となりうる.
▪高齢者ではとくにアドヒアランスを保つためにも,患者の理解度や生活パターンも踏まえたシンプルな用法を心掛ける必要がある.
▪処方の調整にあたっては,病態悪化のリスクや必要な処方を誤って中止するリスクなどにも配慮し,患者の意思を尊重したうえでともに意思決定することが望ましい.
© Nankodo Co., Ltd., 2018