Japanese
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投稿 総説
甲状腺機能低下症診断のための血液学の役割
A hematological contribution to the diagnosis of hypothyroidism.
満谷 進
1
,
細川 一磨
2
,
金田 直輝
2
,
山本 千恵
2
S. Mitsutani
1
,
K. Hosokawa
2
,
N. Kaneda
2
,
C. Yamamoto
2
1神戸徳洲会病院顧問,検査部専任医
2神戸徳洲会病院検査部
pp.553-555
発行日 2018年3月1日
Published Date 2018/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika121_553
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は じ め に 甲状腺機能低下症(以下,本症)は日本社会の高齢化に伴い患者数が増加し,日本甲状腺学会による住民の大規模調査では,潜在性(subclinical)本症患者が3.3~6.1%,顕在性本症患者が0.5~0.6%を占めるといわれる1).本症は男性より女性に多く,加齢とともに増加する.65歳以上の女性の13.2%がTSH値5μU/mL以上であったとの成績がある2).また,50~60歳女性の25%で甲状腺自己抗体が陽性であったともいわれる1).
しかしながら,本症は特異的な自他覚症状が乏しいためにしばしば見逃される1,3).そのために,神経内科,精神科,消化器科など6診療科において甲状腺疾患を疑うポイントが詳細に記述された文献4)がみられる.しかし,ここに血液内科の記載はない.
発症後諸診療科を経て数年後に,貧血と赤血球異常形態の観察を契機として診断が確定した本症症例の報告3)もあることから,あらためて,最近の経験をも踏まえて,本症診断のために血液学が果たす役割の重要性について考察したい.
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