連載 未来の専門医を育てる!
富山から全国へ―富山大学第1外科の取り組み
名倉 里織
1
,
芳村 直樹
1
S. Nagura
1
,
N. Yoshimura
1
1富山大学第1外科
pp.601-603
発行日 2025年8月1日
Published Date 2025/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kyobu78_601
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富山大学附属病院は1976年,富山市のはずれにある(しばしば「山の上」と表現される),少し辺鄙な土地に設置された.しかし病院が立つ呉羽丘陵は富山の西東を分ける古くからの境界であり,地理的には富山県の中央に立地している.辺鄙な場所ではあるが,2003年に病院に隣接する北陸自動車道のインターチェンジが開通し,2015年には北陸新幹線が開通して,富山県および本大学へのアクセスはずいぶん便利になった.この立地により当院は富山県のみならず,周辺県の一部を含む比較的広域の地域医療拠点としての役割をはたすようになった.本大学(旧富山医科薬科大学)第1外科は,開設当初から胸部外科・消化器外科を含む大外科であったが,複数回の再編を経て,現在は第1外科=心臓血管外科となっている.当科の特徴は,重症心不全の外科治療から複雑先天性心疾患の外科治療まで,心臓移植以外のあらゆる心臓血管外科手術を行う北陸地方の拠点施設であり,年間500~600例の多岐にわたる手術を行っていることである.それらを教授含め11名の医局員で担っており,仕事量は決して少なくはない.本大学にも「地域偏在」と「診療科偏在」の波は押し寄せており,慢性的なマンパワー不足のため,理想の職場像からは程遠いのが実情である.

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