特集 胸部外科の緊急手術up to date
特集「胸部外科の緊急手術up to date」によせて
近藤 丘
1
,
小野 稔
1
1編集主幹
pp.739-740
発行日 2022年9月20日
Published Date 2022/9/20
DOI https://doi.org/10.15106/j_kyobu75_739
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呼吸器外科領域では結核に対する有効な化学療法薬の出現により外科治療が激減したが,その後,肺癌に対する外科療法が急拡大して外科のサブスペシャルティとしても確立した領域となることができた.しかし,遺伝子変異や免疫抑制機構についての理解をもとにした内科的治療の昨今の目覚ましい進歩は,往時の結核に対する外科療法の衰退を目の当たりにした者としては,同じことが肺癌の治療にも起こりうるのではないかと考えるものである.一方,心臓血管外科領域でもカテーテル治療やステントなどの進歩により開胸手術によらなくても弁置換や大動脈瘤などの治療ができるようになるなど,薬物療法やテクノロジーの進歩による胸部外科領域における外科療法の守備範囲の縮小は,この先避けられないように思われる.
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