連載 世界の常識,CALSを日本へ!
第❹回 CALS導入の契機・実例その2:佐賀大学
野上 英次郎
1
,
蒲原 啓司
2
E. Nogami
1
,
K. Kamohara
2
1福岡徳洲会病院心臓血管外科
2佐賀大学胸部・心臓血管外科
pp.705-709
発行日 2022年9月1日
Published Date 2022/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kyobu75_705
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佐賀大学(以下,当院)で60歳台前半の男性が冠状動脈バイパス術(CABG)後,集中治療室(ICU)で出血によるタンポナーデにより急変し,低灌流による脳虚血から神経学的後遺症を残し退院するという転帰をたどった.一般的な手術であり,術中・術後も問題なく経過していたが,まさに急変であった.対応したICUスタッフ,医師らは,従来どおりの開心術後の急変として対応したが,患者を救命する鍵となった手技は緊急再開胸,タンポナーデ解除であった.主治医であった筆者はCardiac Surgery Advanced Life Support(CALS)の心停止プロトコール(本連載第1回の図2参照)1)についてある程度習熟していたつもりであったが,神経学的後遺症を残す結果となった.さまざまな問題が原因で,再開胸までに時間を要したことが主な要因と考察した.もしICUでCALSプロトコールを導入していれば,神経学的後遺症を防ぎえたのではないだろうかと強く感じた.
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