胸部外科医の散歩道
『禁煙バトルロワイアル』から始まった散歩
奥仲 哲弥
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1国際医療福祉大学呼吸器外科/山王病院副院長・呼吸器センター
pp.466
発行日 2022年6月1日
Published Date 2022/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kyobu75_466
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2008年春のことであった.古くからの友人である太田光代社長からご主人の禁煙指導を依頼された.ご主人は人気漫才コンビ「爆笑問題」の太田光氏である.頑固なヘビースモーカー,本人に禁煙する意思は全くない.丁重にお断りしたのであるが,そこは辣腕芸能プロダクション社長,転んでもただでは起きない.「禁煙本を作りましょう!」と提案された.太田光氏との延べ10時間に渡る対談に加筆修正を行い,同年10月,『禁煙バトルロワイアル』の題名で集英社新書として発刊することができた.実は新書を発刊するハードルは単行本より高い.一般書のデビュー作が新書であるだけでも幸運であるのに,太田光氏のネームバリューのおかげか,紀伊國屋書店で3ヵ月連続で新書売り上げ1位という望外の売れ行きを記録した.そもそも小生は呼吸器外科医である.中心型早期肺癌の診断・治療がライフワークであるので,禁煙は縁遠いテーマではないものの,禁煙外来も含め門外漢に近い.しかし,著書が売れたことで禁煙の専門家になってしまい,困ったことに(有難いというべきか)講演依頼が殺到した.なにか不思議な力が働いているような思いであった.
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