1枚のシェーマ
気管分岐部腺様囊胞癌切除例
佐藤 幸夫
1
1筑波大学呼吸器外科
pp.918
発行日 2019年10月1日
Published Date 2019/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kyobu72_918
- 有料閲覧
- 文献概要
口径差の調整に難渋した気管分岐部切除・再建例である.身長180 cmの大柄な47歳・男性で,咳嗽・労作時呼吸困難を主訴に受診し,気管分岐部腺様囊胞癌と診断された.背側での食道壁浸潤を疑い,右開胸アプローチを選択した.幸い食道壁浸潤を認めず,気管4 ring・右主気管支2 ring・左主気管支2 ringを含む分岐部切除を施行した(図1).Double barrel再建を行うこととし,左右主気管支内側を連続縫合して新気管分岐部を作成し,気管と縫合しようすると,ピッチの調整では間に合わないほど気管に比し新気管分岐部が大きかった.右側は上葉支と中間幹に分岐していく部位で切離したため,右主気管支断端の口径が大きくなったことが原因であった.口径差調整のため,新気管分岐部の前方および後方を4針ずつ追加縫合し,分岐部を前後に延長することによって外周を縮小させた(図2).口径差は許容範囲となり,ピッチを調整しながら気管と吻合できた(図3).
© Nankodo Co., Ltd., 2019