連載 直腸がん患者への術前アプローチとストーマ・排便障害のリハビリテーション 【6】
直腸がん手術を受ける患者のストーマ・排泄リハビリテーション
松原 康美
1
1北里大学健康科学部看護学科/がん看護専門看護師,皮膚・排泄ケア認定看護師
pp.642-645
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango30_642
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はじめに
直腸がんの罹患数は増加傾向にあり,2021年には5万2,190例が診断され,5年相対生存率は71.8%と報告されており1),治療成績の向上に伴って術後の生活を見据えた支援の重要性が高まっている.近年は手術手技の進歩により,低位前方切除術や括約筋間直腸切除術など,可能な限り肛門機能を温存する手術が広く行われ,永久ストーマを回避する治療選択が広がりつつある.
しかし,これらの手術では一時的にストーマを造設する場合があり,ボディイメージの変容やストーマのセルフケア確立が課題となる.また,一時的ストーマ閉鎖術後は,低位前方切除後症候群(low anterior resection syndrome:LARS)が高頻度でみられ,術後の生活の質(quality of life:QOL)を低下させる要因となる2).そのため術前から患者の不安や生活に見合ったリハビリテーションの支援が重要である.
本稿では,直腸がん手術を受ける患者の事例を例に挙げ,各時期のストーマ・排泄リハビリテーションにおける看護支援について概説する.

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