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治癒切除不能な進行・再発の胃がんに対する新薬情報 ~ゾルベツキシマブの特徴と副作用マネジメント~
新田 理恵
1
1杏林大学医学部付属病院化学療法病棟外来治療センター/がん化学療法看護認定看護師
pp.423-429
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango30_423
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はじめに1-3)
切除不能進行・再発胃がん/食道胃接合部がんに対する治療成績は,生存期間中央値約15ヵ月である.切除不能進行・再発胃がん/食道胃接合部がんに対するがん薬物療法の標準的な一時治療はフッ化ピリミジン系薬剤とプラチナ系薬剤の併用療法であり,HER2陽性の場合はトラスツズマブ,HER2陰性の場合はニボルマブなどの免疫チェックポイント阻害薬を追加することが標準治療となっている.
近年,claudin(CLDN)が胃における組織特異的治療標的として注目され,CLDN18.2に対するモノクローナル抗体であるゾルベツキシマブが開発された.ゾルベツキシマブと化学療法の併用がHER2陰性CLDN18.2陽性未治療切除不能進行・再発胃がん/食道胃接合部がん患者を対象とした臨床試験において生存割合の向上を示した結果より,ゾルベツキシマブは2024年3月にわが国で承認され,HER2陰性CLDN18.2陽性例の新たな標準治療となった.
本稿では,治癒切除不能な進行・再発の胃がんに対する新薬であるゾルベツキシマブの特徴ととくに注意をすべき副作用である悪心・嘔吐のマネジメント,筆者が経験したゾルベツキシマブを使用した事例と看護支援の実際について述べる.

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