特集 がん薬物療法の看護技術
第Ⅵ章 がん薬物療法全般
曝露予防対策×スペシャリストの視点
入江 佳子
1
1筑波大学附属病院看護部/がん看護専門看護師,緩和ケア認定看護師
pp.518-521
発行日 2023年6月15日
Published Date 2023/6/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_518
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はじめに
ハザーダスドラッグ(hazardous drugs:HD)は,曝露によって健康への有害な影響をもたらすか,または疑われる薬品をいい,がん薬物療法に用いられる細胞障害性抗がん薬,免疫チェックポイント阻害薬を含む分子標的治療薬などが含まれる.職業性曝露は,HDの取扱い時に経皮,経口,吸入などによりHDにさらされることを指す.1978年ごろより,諸外国で学会レベルでのガイドラインが公表されていたが,わが国では2014年5月に厚生労働省労働基準局安全衛生部より通達がなされ,2015年7月に「がん薬物療法における曝露対策合同ガイドライン2015年版」が発刊された1).
曝露予防には,投与にかかわる薬品準備から廃棄,および投与を受けた患者のケアに際しての環境保護も含めた総合的な対策が必要2)である.HDの曝露による健康被害,および曝露予防対策の効果に関してはエビデンスは少ないが,本稿では,とくに看護師がかかわることの多い,投与管理,および廃棄時の対策について概説する.
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