特集 がん薬物療法の看護技術
第Ⅱ章 スキンケア
ストーマ患者×薬物曝露対策
帶刀 朋代
1
1東京医科大学病院看護部/皮膚・排泄ケア認定看護師
pp.441-443
発行日 2023年6月15日
Published Date 2023/6/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_441
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はじめに
がん薬物療法の発展は,がん罹患後の生存率の改善や生存期間の延長を可能にし,併存疾患を抱えての闘病やダブルキャンサーあるいはトリプルキャンサーをもつ患者にもしばしば出会う機会がある.こうした患者は高齢でもパフォーマンスステータス(Performance Status:PS)1)が良好な場合は手術や薬物療法といった標準治療が行われる.本稿のテーマはがん薬物療法とストーマであるが,ストーマ造設は直腸・肛門・膀胱がんだけではなく,子宮がんや前立腺がんなどにおいても病巣が臓器外に拡大している場合には,永久または一時的なストーマ造設が行われる.この場合も年齢による制限ではなく,PSをはじめとする本人の耐術能によって実施が判断される.そのため患者が高齢な場合には,加齢による身体的影響に薬物治療による影響も加えて考慮したケアが必要となる.
次項より,一般的なストーマケアと薬物療法中のストーマケア,しびれなど薬物療法の影響で細かい作業がむずかしい場合のストーマケアなどについて解説を行う.薬物の影響は,術前補助化学療法によって出現するものから,術後経過観察を経て再発時に薬物療法を受けることで発生するものまで,対処する時期の範囲が広い.それらの時期の違いによるケアについても述べる.
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