特集1 いまはこうする がん看護 ~サポーティブケア~
【症状緩和】
痛み ~個別性をより重視した疼痛緩和のポイント~
岡山 幸子
1
,
松田 良信
2
1宝塚市立病院看護部/緩和ケア認定看護師
2市立芦屋病院緩和ケア内科
pp.5-7
発行日 2022年1月1日
Published Date 2022/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango27_5
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がん患者に対する鎮痛治療の原則
1986年世界保健機構(World Health Organization:WHO)から,「がん疼痛からの解放」の中で「WHO三段階除痛ラダー」が公表され,1996年には第2版が発表され,オピオイドの使用について詳述された.WHO方式がん疼痛治療法と評価され,その中の「WHO三段階除痛ラダー」はオピオイドの基本的な使用法とされた.軽度な痛みに対して第1段階の非オピオイド鎮痛薬(NSAIDs,アセトアミノフェンなど)を投与し,必要によっては鎮痛補助薬を追加する.それらによっても十分な効果が得られない場合には,第1段階の鎮痛薬に加えて,軽度から中等度の痛みに用いるオピオイド(コデイン,トラマドールなど)を第2段階として用いる.それでも痛みの緩和が得られない場合,中等度から高度の痛みに用いるオピオイド(モルヒネ,オキシコドン,ヒドロモルフォン,メサドンなど)を用いる.どの段階でも,非オピオイド鎮痛薬や鎮痛補助薬は痛みに応じて併用するとされている.以降,「WHO三段階除痛ラダー」はがん疼痛緩和の基本であり,長い間教科書的な扱いとされてきた.
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