特集2 乳がんケア トピック3
乳がん患者のアドバンス・ケア・プランニング ~最期まで患者自身の意思で生ききるために~
山本 瀬奈
1
Sena YAMAMOTO
1
1社会医療法人博愛会相良病院緩和ケア支援センター・臨床研究センター
pp.367-370
発行日 2019年5月1日
Published Date 2019/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango24_367
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乳がんは5年相対生存率91.1%(2006~2008年診断例)1),10年相対生存率79.3%(2002~2006年追跡例)2)と生存率の高いがん種である.がんの生物学的特性に基づく個別化医療が発展しているがん種でもあり,治療法の進歩は生存期間の延長を支えている.中でも転移・再発乳がんの治療はめざましい発展を遂げており,新薬の開発を中心に治療の選択肢は大きく広がってきた.それでも転移・再発乳がんは局所再発を除いて治癒がむずかしい現状にあり,生存期間の延長と生活の質(QOL)の維持・向上が治療の目的となる.QOLの指標は固有の価値観・人生観に色濃く影響を受けるため,治療を選択することがその後の暮らしをどう生きたいか意思決定することへといっそう密に直結する.
本稿では,乳がんをもつ人々が最期のときまでその人らしく生ききることを支えるアプローチの1つとして「アドバンス・ケア・プランニング」の考えかたを紹介し,実践に活かす糸口を考える.
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