Japanese
English
成人股関節疾患の診断と治療 Ⅱ.治療
1.保存療法
1)運動療法
股関節唇損傷に対する徒手療法の可能性
Possibility of manual therapy for hip labral tear
畠山 智行
1
T. Hatakeyama
1
1WhyBody社
1Co., Ltd. WhyBody
キーワード:
hip labar tear
,
manual therapy
,
law of concavity and convexity
Keyword:
hip labar tear
,
manual therapy
,
law of concavity and convexity
pp.36-43
発行日 2025年10月20日
Published Date 2025/10/20
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei88_36
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
は じ め に
股関節唇損傷の治療として,3ヵ月程度の保存療法(安静,消炎鎮痛処置など)1,2)や運動療法3,4),姿勢指導5)があり,それぞれ改善を得られた報告があるが徒手療法の効果を示した報告はほとんどない.関節唇は自然回復が困難な特徴があり6,7),そのため,保存療法の有効性が認められない場合は手術適応と判断される1,2).一方で,関節唇修復術は自然修復した関節唇より本来の股関節機能が改善しないという報告もある8).そこで,関節軟骨が適度な圧縮負荷により修復されるという報告9)に着目した.筆者自身の臨床経験として,関節包内運動を考慮した徒手検査から関節唇および関節軟骨の状態を予測し,それを基にした寛骨臼の関節軟骨に適切な軸圧をかける徒手療法に活かしたことで,早期に症状の改善を得られている.
本稿は,X線所見で寛骨臼形成不全ならびに大腿-寛骨臼インピンジメントの所見が認められず,股関節唇損傷症状を呈した症例に対して徒手療法が著効した経験と考察を報告する.

© Nankodo Co., Ltd., 2025