運動器疾患の画像診断
超音波診断 超音波検査による手指屈筋腱損傷の診断・術後評価
中島 祐子
1
,
砂川 融
,
鈴木 修身
,
四宮 陸雄
,
越智 光夫
1広島大学 大学院整形外科
キーワード:
手指外傷
,
超音波診断
,
屈筋腱損傷
Keyword:
Finger Injuries
,
Ultrasonography
pp.169-174
発行日 2012年10月25日
Published Date 2012/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/J04037.2013043400
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現在の超音波診断装置によって手指屈筋腱の描出がどの程度可能であるか、健常人10例を対象に検討した(以下;検討1)。また、手指屈筋腱損傷18例21指の手術前と術後経過観察時に超音波検査を行い、本検査法の診断・術後評価における有用性について検討した(以下;検討2)。検討1では屈筋腱のZone分類に基づいて、母指はZone TI~TIIIに分類、他の指はZone I~Vに分類し、各Zoneに存在する手指屈筋腱を観察した。その結果、Zone TI~TIIとZone Iでは全手で長母指屈筋腱と深指屈筋腱(FDP)が描出できた。Zone IIでは屈筋腱の描出は可能であったが、浅指屈筋腱(FDS)とFDPの判別は困難であった。Zone IIIでは描出は良好であったが、小指でFDSとFDPの判別が困難なものがあった。Zone IVでは腱の鮮明な描出は困難であった。Zone Vでは比較的明瞭な腱の陰影を描出できたが、判別には動的観察を要した。検討2の結果、術前の超音波検査では「腱断裂の有無」と「断端の位置」が評価可能であり、術後経過観察時の超音波検査では「腱の連続性・滑走性」の評価が可能であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2012