発行日 2002年10月10日
Published Date 2002/10/10
DOI https://doi.org/10.15106/J04037.2003088672
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膝OA患者の階段昇り,降り,逆向き降り(階段を後ろ向きに降りる)のうちどの動作時に最も痛みを感じるか172例を対象にアンケート調査した.併せて健常者20名を対象に三次元歩行解析装置を使って階段動作時の膝関節モーメントを計測し,これらの結果をもとにどの階段昇降の方法が疼痛を軽減させるのに適しているか検討した.片側膝痛を訴えた患者のうち58.1%が階段降り時に最も疼痛を訴え,33.1%が階段昇り時に,8.7%が逆向き降り時に最も痛みを訴えた.両膝痛を訴えた患者では58.3%が階段降り時,27.8%が昇り時,13.9%が逆向き降り時に最も痛みを訴えた.片側膝痛を訴えている者のうち82.0%は健側より昇り,52.0%は健側より降りていた.膝関節モーメントの最大値の平均は,階段昇りのfirst step(FS)側は83.4±15.2Nm,second step(SS)側は22.6±7.9Nmであった.又,階段降りのFS側は15.9±6.1Nm,SS側は84.2±18.6Nm,逆向き降りのFS側は-2.1±5.4Nm,SS側は81.8±19.6Nmであった.階段降り時に生じる膝関節モーメントは,SS側については遠心性収縮による進展モーメントがみられたことから,階段降り時は患側より降りることで疼痛の軽減が図れると考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2002