発行日 2007年7月20日
Published Date 2007/7/20
DOI https://doi.org/10.15106/J03022.2007291156
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造血幹細胞移植では大量化学療法を受け、全身放射線照射を併用することから口内炎の発生頻度は高い。口内炎は患者の生活の質を低下させ、感染症や死亡率を増加させるため予防や治療が重要である。われわれは食事の細菌学的検討を行い移植患者に市販食品の提供を可能とし、経口摂取量は増加傾向にある。また、食事・含嗽前後の口腔内細菌数の検討を行い、唾液の自浄作用による食後の細菌数の低下を認めた。これらのことから経口摂取が唾液の分泌を促進し、口内炎の程度が軽減するのではないかと考えた。そこで、市販食品の提供が可能となった前50名、後50名の移植患者について、経口摂取と口内炎の有無と程度を後方視的に調査しその関係について検討した。結果、食事変更前後において各調査日における経口摂取できた患者数は変更後に有意な増加を認め(p=0.0015)、継続経口摂取できた患者数は変更後、増加傾向にあった(p=0.0592)。各調査日における経口摂取できた患者数と口内炎出現患者数は食事変更前後ともに有意な逆相関を認めた(p=0.0010,0.0056)。本研究において、造血幹細胞移植患者の継続経口摂取による口内炎予防の可能性が示唆された。
©Nankodo Co., Ltd., 2007