海外に行くと言われたら-渡航前後の医学的問題について 渡航関連感染症を経路別に考える
経気道感染症(空気感染と飛沫感染)
高崎 仁
1
1国立国際医療研究センター 呼吸器内科
キーワード:
コロナウイルス感染症
,
インフルエンザ-ヒト
,
ワクチン
,
気道感染
,
感染症予防
,
麻疹
,
麻疹ワクチン
,
予防接種
,
旅行
,
感染症伝播
,
旅行医学
,
輸入感染症
,
インフルエンザウイルスA型H7N9亜型
,
空気感染
,
中東呼吸器症候群コロナウイルス
Keyword:
Communicable Diseases, Imported
,
Communicable Disease Control
,
Measles
,
Measles Vaccine
,
Influenza, Human
,
Respiratory Tract Infections
,
Vaccination
,
Vaccines
,
Travel
,
Disease Transmission, Infectious
,
Coronavirus Infections
,
Travel Medicine
,
Influenza A Virus, H7N9 Subtype
,
Middle East Respiratory Syndrome Coronavirus
pp.909-913
発行日 2017年5月1日
Published Date 2017/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2017209330
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経気道感染症(広義の呼吸器感染症)は,「空気の通り道」すなわち鼻腔から上下気道,肺を感染の場とする感染症である.国内外を問わず頻繁に遭遇する機会があり,実際には渡航に特化する必要のないものが多い.経気道感染症の感染経路は,(1)空気感染(飛沫核感染),(2)飛沫感染,(3)直接的または間接的な接触感染に分類される.渡航関連では,麻疹,中東呼吸器症候群(MERS),鳥インフルエンザなどが代表的疾患である.急性呼吸器感染症の潜伏期間は最長でも20日以内であり,帰国後3週間を経過した症例では渡航関連の特殊な輸入呼吸器感染症は除外可能である.一方で,急性呼吸器感染症は,潜伏期間が短く,患者から病原体が大量に空気中に飛散されるため,アウトブレイクを生じるリスクが高く,迅速かつ的確な患者発見と隔離が重要である.
©Nankodo Co., Ltd., 2017