発行日 2016年6月1日
Published Date 2016/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2016271197
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症例は80歳男性で、79歳時よりとくに誘因なく数分程度の失神を繰り返した。4ヵ月間に計4回の失神があり精査目的に入院となった。諸検査により失神の原因を特定できなかったが心原性失神の可能性を否定できなかったため、植込み型ループ式心電計(ILR)の植込みを行った。ILR植込み後1ヵ月目に前失神となり、その際の記録で25秒間にわたる洞停止と心拍数30/分の接合部由来の補充調律を確認した。眼科より緑内障に対し、ニプラジロール点眼液を両眼に1回1滴、1日2回点眼の指示がされていたが、5mL入りの点眼液ボトルが数日で空になってしまうほどに頻回に使用する場合があったことが明らかになった。洞停止の原因としてニプラジロール点眼液の過量による可能性が高いと考えられた。眼科医の許可のもとに同薬を中止し観察したところ、1年を経過して失神の再発は一度もなく良好で、ILRの記録上徐脈、心停止のイベントは確認しなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2016