発行日 2014年3月1日
Published Date 2014/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2014159112
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52歳女。直腸癌の低位前方切除に対し術前にmFOLFOX6+BVを、術後に5FU+levofolinateの化学療法を受け、制吐剤として大量dexamethasoneも投与した。しかし、術後の化学療法5クール目に発熱、咽頭痛と食欲不振が出現し近医を受診、前頸部痛、頻脈と甲状腺腫大が認められたため、著者らの施設へ紹介となった。入院時、意識はJCS I-2で傾眠、咽頭発赤をはじめ、甲状腺は両葉とも7×4cmで峡部も緊満様、弾性硬で圧痛が認められた。またほか高炎症反応や甲状腺機能の軽度高値に加え、抗Tg・TPO抗体は強陽性だが抗TSH受容体抗体(TRAb)は陰性で、血清コルチゾールはショック状態に比して低値であった。以上、これらの所見を踏まえて、細胞外液補液やドーパミン持続静注、およびpiperacillin/tazobactamを開始することで意識は徐々に改善したが、頸部CTでは著しい甲状腺腫大がみられ、甲状腺エコーでは甲状腺腫大と峡部の肥厚が認められた。そこで、甲状腺穿刺吸引細胞診を行なったところ、背景にリンパ球が認められ、橋本病の急性増悪と診断、第4病日目よりloxoprofenを投与した結果、速やかに解熱となり、炎症反応と甲状腺圧痛の改善とともに甲状腺腫大も改善した。尚、最終的には血圧の上昇がみられたためドーパミンを中止し。患者は第9病日目に退院となった。
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