発行日 2013年9月1日
Published Date 2013/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013323224
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80歳男。人間ドックにて血清CEAの高値および多発肺結節が認められた。転移性肺腫瘍を疑ったが、画像検索では悪性所見は認めなかった。肺の結節は気管支との関連に乏しく経気管支生検診断が困難と思われ、定期的にCEAと胸部画像による経過観察を施行した。多発肺結節に変化はなく血清CEAの経年上昇は持続し、複数回施行した画像所見に有意なものはなく、初診時から4年後のCEAは20ng/mlを超えた。再度のPETで耳下腺に左右差を認めたが、自覚症状はなく顔面神経麻痺所見もなかtった。視診でわずかに左頬部が右側より腫脹していた。触診でも鶉卵大で比較的弾性硬で無痛性の耳下腺を微かに触知した。エコー検査で耳下腺内部に3cm大の凹凸不変で不均一な多嚢性病変を認めたため、耳鼻咽喉科を紹介した。99mTC核医学検査を行ったところ、内部欠損を有する集積を認め、耳下腺穿刺、細胞診でクラスIIIの耳下腺腺癌と診断された。耳下腺全摘出後の最終病理診断は乳頭状腺癌、病期II期:pT2N0M0であった。50Gyの放射線照射治療を追加したが多発肺結節には著変なく、血清CEAは術後8.9ng/mlに放射線照射終了後は4.7ng/mlに低下した。
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