発行日 2013年7月1日
Published Date 2013/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013260571
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33歳男。20歳時、再生不良性貧血、発作性夜間血色素尿症症候群に対し、ステロイドおよび顆粒球コロニー刺激因子製剤の投与が開始された。33歳時、著明な貧血、腎機能障害により紹介となった。腎性急性腎不全を示唆する所見を認め、尿中β2-ミクログロブリンおよびNAG値の上昇から、近位尿細管障害が考えられた。血液生化学検査では、正球性正色素性貧血を認め、高P血症、腎機能障害、溶血による黄疸、高血糖、グリコアルブミンの上昇、ハプトグロビンの感度以下の低下、血清Ngalの高値を認めた。腹部CTでは両側の腎腫大を認めた。溶血発作後の経皮的腎生検では、近位尿細管にのみヘモデジリンと考えられる茶褐色の顆粒状沈着物が認められ、特に近位尿細管上皮細胞内および刷子縁に認められた。近位尿細管上皮細胞内にライソゾームの集合像を認め、スペクトル解析で鉄と診断された。以上より、溶血発作に伴う非乏尿性急性腎不全と診断された。腎不全の加療は保存的に行い、溶血性貧血に対して洗浄赤血球輸血を行うとともに、第4病日よりプレドニソロン、パプトグロビンの投与を開始した。徐々に溶血は軽減し、第6病日に消失し、腎機能は第25病日より血清Crが正常化し、第38病日に退院となった。
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