発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2015265086
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症例は68歳男性で、労作時や起立時の前失神状態を自覚し、起立性低血圧と診断され、ドロキシドパ、ミドドリンを処方されたが、自己判断で中止した。誘因なく腹痛を伴わない下痢を1回/日程度認めた。5年前、大腸内視鏡で大腸ポリープを指摘され切除した。3年前から症状が悪化し食後・飲水後に排便が多く4~5回/日になった。便は黄色の水様便で粘液や血液の混入は認めなかった。1年前、上部消化管内視鏡で逆流性食道炎を認め、プロトンポンプ阻害薬による内服治療を行った。胸部単純X線で心拡大・肺野異常影なく、腹部単純X線で異常ガス像なく、腹部造影CTで有意な所見を認めなかった。上下部消化管内視鏡検査を行い、上部消化管では逆流性食道炎を認め、下部内視鏡前処置の下剤2Lを服用にも関わらず胃内に残渣を認めた。吸収障害として脂肪便検査、消化管アミロイドーシスを疑い、上下部消化管の粘膜生検を行ったが異常は認めなかった。便培養は腸内常在菌のみで自己免疫疾患スクリーニングとして、炎症反応・抗核抗体、各種自己抗体は陰性であった。心電図CVR-R間隔で安静時変動係数0.41%と著明な低下を認めた。早朝安静時採血のカテコールアミン分画でノルアドレナリンの著明低値を認めた。中枢神経障害を認めず、自律神経障害をきたす純粋型自律神経不全症(PAF)の診断基準で病理学的基準以外は満たしprobable PAFと診断した。弾性ストッキング着用、アメジニウム服用で対応している。
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