発行日 2011年5月1日
Published Date 2011/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2011244794
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60歳女。近医で血糖値およびHbA1cの高値、血小板数の減少を指摘され、精査目的で透過入院となり、特発性血小板減少性紫斑病の診断でステロイド内服を開始し、糖尿病に対しては食事療法とインスリン投与を開始した。入院中のCTで左副腎腫瘍を認めたため、ステロイドを中止した約1年半後に副腎ホルモン検査を行ったところ、cortisol基礎値は正常であったが、ACTH基礎値が抑制されていた。ACTH/cortisol日内変動は消失しており、dexamethasone抑制試験ではcortisolの抑制を認めなかった。131-アドステロールシンチグラフィでは、左副腎部位に異常集積を認めた。Subclinical Cushing症候群(SCS)と診断して腹腔鏡下左副腎摘出術を施行し、病理診断は副腎皮質腺腫であった。術後はhydrocortisone補充を行い、糖尿病に対しては食事療法を行った。SCSは改善し、耐糖能も正常化したが、約3年後に血糖値が悪化し、聞き取り調査で過食や運動不足等の生活習慣の乱れが明らかとなった。食事療法とインスリン投与で血糖値は改善し、肥満に対してはmetformin内服を開始した。なお、現在SCSの再発を疑う所見はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2011