発行日 2010年11月1日
Published Date 2010/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2011055937
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41歳女。全身倦怠感、低ナトリウム血症で紹介入院した。SIADHと診断し、水分制限、塩分摂取のみで改善し退院した。6日後より四肢の痺れ感、右上下肢の筋力低下、複視、呼吸困難感が出現したため再入院した。注視方向性の眼振、嚥下障害など多彩な中枢、末梢神経障害があった。頭部造影MRIでは大脳皮質下に散在する斑状病変、右延髄外側から上部頸髄に連続してT1強調画像等信号、T2強調画像高信号、Gdで造影効果のない病変を認めた。以上の所見と血清抗SS-A/SS-B抗体高値などから、シェーグレン症候群の中枢神経障害、また多発性硬化症をはじめとした脱髄疾患を鑑別診断として考慮した。人工呼吸管理で、mPSLパルス療法を開始し、血漿交換、免疫グロブリン大量療法(IVIG)を追加して神経症状は改善し、人工呼吸器離脱、PSL漸減で再入院後2ヵ月に退院した。PSL量を調整し、9ヵ月後よりcyclophosphamideを開始し2ヵ月後よりazathioprine併用で加療中である。血清Naは初回入院後、正常を維持している。
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