糖尿病診療の新時代 2010年代の展望
わかってきた合併症の病態とこれからの治療 神経障害を見逃さない診療法
八木橋 操六
1
1弘前大学 大学院医学研究科分子病態病理学講座
キーワード:
運動障害
,
感覚障害
,
多発ニューロパチー
,
糖尿病性神経障害
,
重症度指標
,
足部疾患
Keyword:
Diabetic Neuropathies
,
Foot Diseases
,
Movement Disorders
,
Polyneuropathies
,
Sensation Disorders
,
Severity of Illness Index
pp.80-85
発行日 2010年1月1日
Published Date 2010/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010082280
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神経障害は糖尿病合併症の中で、もっとも早期かつ高頻度に出現し進行する。下肢切断を招くだけでなく、患者のQOL低下とともに寿命の短縮をもたらす重篤な病態である。それにもかかわらず、神経障害は「忘れられた合併症」として日常診療の中で注意を余り払われない傾向がある。患者は自覚症状を訴えないことも多く、両側のアキレス腱反射、振動覚の検査が診断の基本となる。病期の進展は足先から上での感覚低下のレベルで知ることができる。進展を抑制するためには、血糖コントロールとともに高血圧、喫煙、脂質異常などの因子を避け、成因に基づく対処が必要となる。まず、足の観察から診療を始めることが大切である。
©Nankodo Co., Ltd., 2010