糖尿病診療の新時代 2010年代の展望
わかってきた合併症の病態とこれからの治療 腎症についての新たな知見 腎症の発症機序と新たな治療法
古家 大祐
1
1金沢医科大学 内分泌代謝制御学
キーワード:
Hexosamines
,
Protein Kinase C
,
糖尿病性腎症
,
Advanced Glycosylation End Products
,
酸化ストレス
,
ポリオール経路
Keyword:
Diabetic Nephropathies
,
Hexosamines
,
Protein Kinase C
,
Glycation End Products, Advanced
,
Oxidative Stress
pp.75-79
発行日 2010年1月1日
Published Date 2010/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010082279
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20世紀に入り、糖尿病患者に対する血糖・血圧・脂質異常の治療手段、およびそれら目標値に関する多数のランドマーク研究成果が報告された。つまり、厳格な血糖管理・レニン-アンジオテンシン系阻害薬による血圧管理・脂質異常に対する管理によって、糖尿病性腎症(腎症)の発症・進展が抑制されるのみならず、その結果として、心血管疾患の発症・進展も改善されるというエビデンスが集積されてきた。しかし、いまだ包括的治療にもかかわらず、腎症の発症・進展とともに心血管疾患に罹患する患者数が増加の一途をたどっていることも事実である。したがって、腎症の発症病態に基づいた治療戦略が望まれている。現在、ヒト腎症に対して効果が期待されている新たな薬剤として、epalrestat、PKCβ阻害薬、bardoxolone methylが候補としてあげられる。
©Nankodo Co., Ltd., 2010