発行日 2009年8月1日
Published Date 2009/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009299271
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小児科専門医・専門施設を受診する必要性が高い細菌感染症(化膿性髄膜炎、菌血症、肺炎、急性喉頭蓋炎、骨髄炎・化膿性関節炎、尿路感染症、感染性腸炎)に限って概説した。小児期の細菌感染症の頻度・重症度・入院の必要性は、年齢を、0~3ヵ月、3~36ヵ月、それ以後の3群に分けて判断するのが、一つのコツである。低年齢群であるほど、重症細菌感染症の頻度が高い。いずれの細菌感染症もおのおのの疾患を疑うことからはじまるが、中でも、早期に発見しただちに専門病院への紹介が必要な重大疾患は、化膿性髄膜炎、急性喉頭蓋炎、骨髄炎・化膿性関節炎である。病初期(発熱してまもなく)に異常所見が少なくても、急激に症状が悪化する場合がある。状態の変化があれば再受診する旨を伝えておくとよい。細菌感染症の診断には、一般的に白血球数、CRPが診断に有用であるが、菌血症でCRPが上昇していない症例や、化膿性髄膜炎で白血球数の上昇していない症例がありうることに注意する必要がある。適切な部位から培養検体(血液培養、尿培養、便培養など)を採取してから、抗菌薬を投与するのが基本である。培養を採取せず抗菌薬を投与したために、化膿性髄膜炎などの重大疾患を、起炎菌不明のまま治療しなければならない場合がある。
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