発行日 2009年1月1日
Published Date 2009/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009072565
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51歳男。両下肢浮腫と上腹部痛が出現し、著明な小球性低色素性貧血、血小板数の軽度低下、腎機能障害を認めた。TP、Albは低下していたが、TC著明低下、尿中蛋白1.0g/日でネフローゼ症候群の診断基準は満たさず、画像所見では両側胸・腹水、肝・脾腫を認めた。腎生検を行い、糸球体は腫大し、globalな内皮細胞の腫大と係蹄壁からの解離がみられ、浮腫性変化と共に内皮下腔の開大が目立ち、不規則な係蹄基底膜の二重化もみられた。POEMS症候群を疑ったが、神経・皮膚所見を認めず、M蛋白も検出されなかった。他の検査所見で血中IL-6 15pg/ml、血管内皮増殖因子(VEGF)113pg/mlと増加しており、全身浮腫や腹水貯留の原因が高VEGF血症による血管壁の透過性亢進によるものと考え、ステロイド薬投与および血漿交換療法を開始した。その結果、VEGF値低下に伴って浮腫・腹水は著明に改善し、腎機能障害、貧血、血小板低下も回復した。
©Nankodo Co., Ltd., 2009