発行日 2008年9月1日
Published Date 2008/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2008332443
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症例1:77歳男。左側腹部痛と下腹部不快感を主訴に受診した。軽度の腎機能障害と炎症反応、γグロブリン分画の増加、IgGとIgG4の高値を認めた。CTで左側水腎症と尿管の拡張、腹部大動脈周囲に軟部腫瘤を認め、MRIのT1強調像で低信号、T2強調像で低~中間信号を呈し、後腹膜線維症と診断してPSL内服を開始した。ESR、IgG、IgG4は速やかに低下し、治療182日後には大動脈周囲の軟部腫瘤は消失し、PSLを漸減中止したが再発は認めなかった。症例2:79歳男。上腹部不快感を主訴に受診した。著明な腎機能障害、CRP高値を認め、α2グロブリン分画の軽度上昇を認めたが、IgGとIgG4は正常範囲内であった。CTで両側水腎症と尿管拡張、腹部大動脈周囲に軟部腫瘤を認め、MRIはT1強調像が低信号、T2強調像が中間信号を呈し、大動脈に石灰化を認めた。以上より、後腹膜線維症による腎後性急性腎不全と診断して3日間の緊急透析後にPSL内服を開始し、CRPの低下、腎機能も改善し、治療135日後には腫瘤は縮小し水腎症も消失した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008