発行日 2008年7月1日
Published Date 2008/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2008258139
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Brugada症候群とは、心電図のV1~V2誘導でcoved(凸)型ST上昇を示し、心室細動による心臓突然死をきたす疾患である。疫学調査により、Brugada型心電図変化を示す患者が予想以上に多いことが示され、予後良好な患者とそうでない患者を区別するためのリスク層別化の方法が模索されている。ハイリスク患者を同定するには、現在のガイドラインでは、(1)失神発作の既往、(2)突然死の家族歴、(3)心臓電気生理検査による心室細動の誘発、を重視している。しかし、侵襲的検査である心室細動の誘発についてはいまだに賛否両論があり、一定の見解が得られていない。最近、心電図の自然変動(日内・日差変動)が、リスク層別化の有用な指標としてクローズアップされており、これには迷走神経活動が関与していることから、満腹テストなどのユニークな検査法も考案されている。加算平均心電図による心室late potentials(LP)や、高位肋間心電図記録も、わが国においては有用度の高い検査となっている。本稿では、まずBrugada症候群の最近の考え方について概説し、次にハイリスク患者を同定するための有用な非侵襲的診断法に焦点をあてて解説し、最後に治療法の現状について述べる。
©Nankodo Co., Ltd., 2008