B型肝炎の新たな治療展開
病態からみたB型肝炎の診断
山田 剛太郎
1
1川崎医科大学附属川崎病院肝臓・消化器病センター 内科
キーワード:
生物学的マーカー
,
肝炎-B型
,
B型肝炎e抗原
,
変異
Keyword:
Hepatitis B
,
Hepatitis B e Antigens
,
Mutation
,
Biomarkers
pp.610-616
発行日 2007年10月1日
Published Date 2007/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2007346137
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B型肝炎ウイルス(HBV)キャリアは、病態により4期に分かれる。免疫寛容期(HBe抗原陽性無症候性キャリア):HBV-DNA量、HBe抗原量はともに多く、HBV-DNAのcore promoter(CP)領域やprecore(PC)領域の変異はみられず、ともに野生株が多い。肝炎期(HBe抗原陽性ないしは陰性慢性肝炎):CP領域ないしはPC領域の変異により、血中HBe抗原量の減少がはじまる。免疫応答の高まりで野生株感染肝細胞の排除が速やかに進む例では、本格的なHBe抗原の減少やHBV-DNAの減少がはじまる。一部で、HBe抗原陰性になっても変異株に伴う肝炎が持続する。肝炎消退期(HBe抗原陰性無症候性キャリア):変異株の大半が除去されると肝炎は沈静化する。治癒期:一部で、HBs抗原も消失する。
©Nankodo Co., Ltd., 2007