発行日 2003年1月1日
Published Date 2003/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2003164400
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
40歳女.妊娠34週で不正出血があり,胎内発育遅延および常位胎盤早期剥離が疑われ,帝王切開術が施行された.翌日,嘔気,嘔吐,頭痛が出現し,貧血,肝障害,血小板減少が出現した.その後,Na106mEq/lと低下し,水制限,Na補充,hydrocortisoneの投与で改善したが,脱力,意識混濁が出現し紹介入院となった.TRH,CRH,LH-RH,GRH負荷試験では,下垂体前葉ホルモンは無反応から低反応を示した.頭部MRIで線条体にT1強調像で低信号,T2強調像で高信号を示した.下垂体は腫大や萎縮は見られなかった.hydrocortisoneの投与を始め徐々に漸減した.精神状態は安定し,発声量,筋力も回復し,日常生活は自立できるようになった.約5ヵ月後下垂体ホルモン負荷試験で汎下垂体機能低下症を呈した.翌年の頭部MRIで下垂体前葉は萎縮しており,FLAIR像での線条体の信号上昇は消退した.肝障害,血小板減少も同時にみられたことからHELLP症候群と考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2003