発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011044262
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7年間で胸郭出口症候群(TOS)と診断した534例を対象に、肩関節周囲炎や上腕骨外側上顆炎などの疼痛性疾患の合併頻度と発症時期を検討し、両者の関連について調べた。その結果、2疾患のどちらかの合併を89例に認め、肩関節周囲炎66例で、女性が有意に多かった。上腕骨外側上顆炎の合併は38例で、男女差はなかった。また、2疾患を同時にもつ例は15例であった。その他に狭窄性腱鞘炎の合併が15例、上腕骨内側上顆炎が6例であった。最近2年間の全整形外科全新患数8090例中、肩関節周囲炎患者は434例、上腕骨外側上顆炎患者が98例、TOS患者は227例であった。そのうち、TOS合併肩関節周囲炎患者は26例、上腕骨外側上顆炎患者は17例であった。TOS患者中の肩関節周囲炎合併頻度は11.5%、上腕骨外側上顆炎合併頻度は7.5%で、非TOS患者と比べて高頻度であった。発症時期においては、肩関節周囲炎患者ではTOS先行は52%、同時または不明は36%、後発は12%であった。上腕骨外側上顆炎ではTOS先行は63%、同時または不明は32%、後発は5%で、TOSが先行する場合が多かった。以上より、TOSにおいて肩関節周囲炎や上腕骨外側上顆炎の合併は少なくなく診断・治療に留意すべきものと考えた。
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