発行日 2010年1月1日
Published Date 2010/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010080242
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34歳女。中学生頃より左手背に無痛性腫瘤を自覚していたが、軽微な外傷で痛みが生じ、腫瘤増大、手指冷感を来たした。左手背に65×28mmの腫瘤様隆起を認め、近位に栄養動脈の拍動を触れた。MRIおよび血管造影所見より巣状部を有する動静脈奇形(AVM)と診断し、尺骨動脈および橈骨動脈よりの流入動脈を認めた。圧迫固定で経過観察したが、腫瘤増大と疼痛、異常拍動音が出現したため、Schobinger分類第III期と判断し、NBCAを用いた経カテーテル動脈塞栓術(TAE)を施行した後、ポリドカノール直接注入による経皮的硬化療法を行った。AVMは退縮傾向となり症状も改善したが、1年後に症状が再燃し、再度TAEを行うとともに再発防止目的で手術を施行した。AVMは背側第2・3骨間筋を巻き込み海綿状血管が無数に存在し、筋内にも存在し膨化していた。壊死組織とAVMをできる限り切除し、術後手指の運動障害は生じず、術後4年8ヵ月経過して整容的・機能的に問題はなく、再発も認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2010