発行日 2007年6月1日
Published Date 2007/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2007226694
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78歳女。左側胸膜外後腹膜進入によるTh11~L1前方除圧固定術中、髄液漏出を認めた。遊離脂肪片移植とフィブリン糊散布にて対処したが、術後8日目に坐位をとった際に意識レベルの低下をきたした。臥位で短時間に意識回復し、頭部CTでびまん性の硬膜下水腫と脳室の狭小化および脳槽の消失を認めたことから、髄液漏出に伴う低髄圧症候群と診断した。輸液と安静臥床により症状の再燃はなく頭部CTも著しく改善したが、3週間後に坐位をとった際、再び意識消失発作が出現した。胸腰椎移行部MRIではTh12椎体左側に巨大な嚢腫を認め、ミエロCTではくも膜下腔から嚢腫への造影剤の移行が確認され、術中に生じた髄液漏が形成した巨大な偽性髄液瘤による低髄圧症候群と診断した。第9肋間動静脈を茎として肋間筋弁を作製し、髄液漏出部を被覆して閉鎖した結果、頭部CTは正常所見に回復し意識障害は出現せず歩行可能となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2007