外科医を取り巻く諸問題
医療関連死 医療事故調査委員会 厚生労働省案のもたらすものと議論の動向
小松 秀樹
1
1国家公務員共済組合連合会虎の門病院 泌尿器科
キーワード:
医療過誤
,
厚生労働省
,
専門家委員会
,
報告の義務化
,
医事紛争
Keyword:
Malpractice
,
Professional Staff Committees
,
Mandatory Reporting
pp.733-738
発行日 2008年7月1日
Published Date 2008/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008258164
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1999年、『人は誰でも間違える』(米国医療の質委員会、医学研究所)が出版され、医療安全の考え方が大きく変化した。旧思考は責任追及型とでもいうべきものであり、「過失により人に傷害を与えたり死にいたらせたりすることは、個人の罪である。処罰により事故が防止され、社会の安全が向上する」と考える。新思考は学習改善型とでもいうべきもので「人間は間違いをおかしやすい性質をもっており、その性質をかえることはできない。医療事故は個人ではなくシステムの問題ととらえる。間違いが起こることを前提に、間違いを起こせない、あるいは間違いがあってもどこかで修正できるようにシステムを構築する。そのためには、広く事故情報を収集して過去の失敗に学ぶ必要がある」と考える。医療事故調査委員会-医療安全調査委員会に関する厚生労働省の第三次試案が2008年4月3日に発表された。この試案は2007年10月17日に発表された第二次試案と同様、旧思考の立場に立っており、医療提供体制を揺るがしかねない。
©Nankodo Co., Ltd., 2008