手術室の最新情報
一般外科手術前のリスク判定と周術期対策 呼吸器系併存疾患、とくに慢性閉塞性肺疾患と術後呼吸器合併症について
星川 康
1
,
小林 照忠
,
近藤 丘
1東北大学加齢医学研究所 呼吸器再建研究分野
キーワード:
患者教育
,
呼吸機能検査
,
術後合併症
,
分類
,
禁煙
,
リスク評価
,
呼吸理学療法
,
肺疾患-慢性閉塞性
,
口腔ケア
Keyword:
Classification
,
Postoperative Complications
,
Patient Education as Topic
,
Respiratory Function Tests
,
Smoking Cessation
,
Risk Assessment
,
Pulmonary Disease, Chronic Obstructive
pp.281-288
発行日 2007年3月1日
Published Date 2007/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2007150002
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
近年の高齢者手術例の増加とともに慢性閉塞性肺疾患(COPD)合併症例を手術する機会が増えている。COPDは、肺・心臓以外の一般外科手術症例においても無気肺・肺炎・呼吸不全などの術後呼吸器合併症発症に対する独立した危険因子としてもっとも重要なものの一つである。一般外科手術後の呼吸器合併症発症率はおよそ2~3%と報告されている。COPD合併例における術後呼吸器合併症発症のodds比は1.79(CI,1.44 to 2.22)とされている。COPDの診断は、まず慢性咳嗽・喀痰・労作時呼吸困難のいずれか、あるいは、臨床症状がなくてもCOPD発症の危険因子、とくに長期間の喫煙歴があるときに疑うことが重要で、スパイロメトリーにより確定する。COPDを含む、危険因子の一つ以上を有する症例では、周術期呼吸理学療法、経鼻胃管の選択的適用などの術後呼吸器合併症予防対策を講じることが推奨されている。
©Nankodo Co., Ltd., 2007