発行日 2006年1月1日
Published Date 2006/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2006093099
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甲状腺癌の中で,内視鏡下手術のもっともよい対象となるのは乳頭癌,とくに微小癌である.経過観察が容認されるほど生命予後に影響を与えない疾患とはいえ癌と診断された以上,手術を望む症例にとって整容上利点を有する内視鏡下手術は適切な治療法と考える.また臨床的に高危険度乳頭癌の初期診断が困難である以上,また微小癌のリンパ節郭清範囲に関しても内視鏡手術で十分可能と考えられることから,内視鏡下手術はよい選択肢である.一方,1cm以上の乳頭癌に対しても内視鏡下に原発巣切除とリンパ節郭清を施行している施設もある.甲状腺癌に対する内視鏡下手術の歴史がまだ浅い現況を考えると,本手術と適応に対する評価には今後長期間を要する.遺伝子診断陽性の家族性髄様癌に対する予防的全摘術,微小浸潤型濾胞癌に対する腺葉切除も可能であるが,後者は術前診断がむずかしい.術前診断,進行度の評価を的確にしたうえで内視鏡下手術を選択することが肝要である
©Nankodo Co., Ltd., 2006