発行日 2017年6月1日
Published Date 2017/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017264354
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症例は73歳男性で、前立腺癌手術前検査で弓部大動脈瘤を指摘された。CTでは遠位弓部に嚢状で最大短径55mm大の大動脈瘤を認め、全身麻酔下仰臥位で施行した。胸骨正中切開でアプローチした。中等度低体温まで冷却し、選択的脳灌流法で脳血流を維持し、全弓部置換術を施行した。術後の経過は良好で、一般病棟でリハビリテーションを開始した。術後16日にHbが突如低下し、CT検査を施行したが貧血の原因となる所見はなかった。その後も徐々にHb低下傾向を認めた。赤血球輸血について検討するために交差適合試験を提出すると、全て不適合であった。さらに、不規則抗体スクリーニング検査を施行すると全ての項目で凝集を認め、高頻度抗原陰性である可能性が示唆された。術後21日にHbは最低値を認めたが、以後貧血の進行はなく改善傾向となった。最終的に、高頻度抗原(Jka抗原、Jkb抗原)陰性と判明し、輸血は行わず、術後24日に退院した。
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