発行日 2011年8月1日
Published Date 2011/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011338806
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著者らは両側肺動脈絞扼術後の肺動脈遺残狭窄の抑制目的で、チタン製結紮用クリップで肺動脈を挟み、クリップを一定の短径の菱形に変形させ、肺動脈周囲長を短縮せずに断面を減じ、肺血流を制限する術式を開発した。今回、本術式の臨床実施の可能性について新生児と同等の雌ビーグル犬7匹を実験動物として検討した。更にあわせて肺動脈組織の障害程度と遺残狭窄の程度をePTFEテープによる従来法と比較した。その結果、1)全例でクリップおよびePTFEテープはともに留置部位に確認され、絞扼部の流速に左右差は認められなかった。但し、テープに比べクリップによる絞扼では遺残狭窄の程度が軽度であった。2)摘出した肺動脈組織では、テープによる絞扼部位は遺残狭窄のため末梢側肺動脈より細く、壁肥厚が高度であった。また、血管内皮下層の浮腫や内皮細胞の反応性増生により著明に内皮が肥厚しており、4例中2例で器質化血栓形成が認められた。3)クリップによる絞扼部位は遺残狭窄や血管壁の肥厚はみられず、内膜に局所的な浮腫を1例に認めたのみで、組織学的変化はわずかであった。
©Nankodo Co., Ltd., 2011